卒論の書き方大全(文系版)【完成までの最短ルート】
簡単7ステップ! 卒論作成法を教えます
このページでは今まさに卒論の書き方にすごく困っている方に向けて「この通り作業を進めれば卒論が最速で完成する方法」をお教えします。
卒論を書き上げる最短ルートは次の7ステップを踏むことが求められます。
- 第1ステップ 「レポート」と「卒論」の違いを理解しよう
- 第2ステップ 卒論を書く分野を理解しよう
- 第3ステップ 問いを立てよう
- 第4ステップ 結論(仮説)を決め打ちする
- 第5ステップ 卒論の構成を考えよう
- 第6ステップ 卒論を書いていこう
- 第7ステップ 卒論を仕上げよう
これが卒論・レポート代行プラザ流の「卒論の書き方」7ステップです。
では早速、第1ステップ「レポートと卒論の違いを理解しよう」から解説していきます!
第1ステップ 「レポート」と「卒論」の違いを理解しよう
これまで皆さんが取り組んできた大学のレポートと卒論は大きく違います。
この点を理解せずに卒論を書き始めてしまうことが「卒論の書き方が分からない」と感じてしまう最大の理由です。
そこでまずは大学のレポート課題と卒論の違いを以下の3点から理解しましょう。
- 違い1 目的が違う
- 違い2 自分でテーマを設定する必要がある
- 違い3 文字数が違う
違い1 目的が違う
卒論には、「あなただけの新しい独自の視点」が求められます。そのため、問われていることを理解し、既に習った情報から要約してまとめれば良いレポートとは、全く書き方が違う訳です。
つまり、卒論ではこれまでに研究されていない新たな「問い」を設定した上で、それを既存の情報や独自の調査・分析を通して明らかにしていくことが求められます。この点を理解するだけで卒論を書くのが一気に楽になるのでまずはこの点を頭に入れておきましょう。
違い2 自分でテーマを設定する必要がある
先程も触れたようにレポート課題では先生が「問い」、つまり問題文を書いてくれました。そのため問題文に答えるようにレポートを構成し、書き上げることができれば単位をもらうことができます。
一方で卒論は自分の手で「問い」を立てる必要があります。つまり自分で問題文を書いて、それを解くことが求められる訳です。
「問い」を立てるという作業は、きちんとその分野を理解していなければできないことです。しかも卒論の場合の「問い」は、それまでの研究で結論が出ていないオリジナルで新しい視点である必要があります。
これが「卒論の書き方が分からない」と感じてしまう大きな理由の一つとなっている訳です。
違い3 文字数が違う
卒論は10000〜20000文字とレポートに比べて多くの文字数が指定されます。文字数が増えれば増えるほど難しくなるのが文章全体を一つの論としてまとめること。
そのため、卒論ではしっかりと構成をして、「自分が今、何を書いているのか分からない」なんてことがないようにする必要があります。
この文字数の多さもレポートより卒論を書くのが難しいと感じてしまう大きな理由の一つとなっていると言えます。
第2ステップ 卒論を書く分野を理解しよう
さて、卒論と大学のレポートの違いを知ったところで「早速卒論を書いていこう!」と言いたいところですが…。
まずは自分の書く分野を知っておかなければなりません。
自分が卒論に書こうと思っている分野の「基本的なことが書いてある書籍(教科書)」を3冊ほどピックアップした上で、次の3つのポイントに沿ってインプットしていきましょう。
- ポイント1 「専門用語」の定義を抑える
- ポイント2 基本的な考え方を抑える
- ポイント3 「自然な疑問」リストを作成する
ポイント1 「専門用語」の定義を抑える
どんな分野にも必ず「専門用語」があります。この説明が書かれている箇所を確認しておきましょう。コツは「専門用語とは…」と書かれている場所を探すこと。「とは」の後には深くそのことが説明されている文が来ることが多いからです。
ここで調べた「専門用語」はリスト化してメモしておくと卒論を書く時にも重宝します。
ポイント2 基本的な考え方を抑える
各分野、どんな内容でも軸となる考え方や理論があります。基本書を読みながら、これらを理解していきましょう。
学習しながら自分なりに人に説明できるようにしておければ完璧です!
ポイント3 「自然な疑問」リストを作成する
最後に基本書を読んでいて抱いた「自然な疑問」もリストにしておきましょう。これは論文のテーマを決めるときに大変役立ちます。
自然に抱く疑問というのは学術的にも価値が高いことが多いためです。ここでできる限り多くの自分なりの「疑問」を揃えることができるかが卒論の成否に関わってきます。
これらのポイントを抑えてインプットをしておけば、卒論の執筆に役立つだけではなく、担当の先生とのコミュニケーションも円滑に進んでいきます。少しの手間で卒論を書くのが格段に楽になるので是非時間を取ってみてください。
ステップ3 自分だけの「問い」を立てる
基本知識を手に入れたら、次は先行研究を確認してオリジナルな「問い」を見つけていきます。卒論において「問い」は研究目的となる最重要な要素です。
次の3つの手順で先行研究から「問い」を見つけていきましょう。
- 手順1 総説論文で一挙に全体像を掴む
- 手順2 自分だけの「論点」を見つける
- 手順3 「論点」を「問い」に磨き上げる
手順1から解説していきます。
手順1 総説論文で一挙に全体像を掴む
総説論文とはその分野の研究の体系立ててまとめた論文です。これを読むだけで「あなたが書きたい分野の先行研究の状況」が一挙に手に入れることができます。
総説論文の探し方は簡単。まずはGoogleの論文検索サイト「Google Scholar」から、研究キーワードを入力します。
検索結果のページの右上にある≡をタップして、総説論文を選択します。
これで、自分の研究キーワードの「総説論文」のみが検索結果に表示されるようになっているはずです。なお、入力したキーワードによっては「総説論文」がない場合もあります。
その場合は一回り大きいキーワードを入れて検索してみましょう。
例えば…「サッカーチームとファンの関係」について検索をして出てこなかった場合は「スポーツチームとファンの関係」について検索をするといった具合です。
そうやってキーワードを少しずつ大きくしていけば必ずその分野の「総説論文」に行き当たります。まずは「総説論文」を読み込んで、「その分野のどこに論点があるのか」「研究によってどこまでが判明していて、どこまでが分かっていないのか」ということを明らかにしておきましょう。
手順2 自分だけの「論点」を見つける
「総説論文」で先行研究の状況を掴んだら、「普通に考えたら抱く疑問だけど、まだ研究されていない問題」を探していきます。
ここで効いてくるのがステップ1。
ステップ1の学習の時点でリスト化した疑問点を眺めながら、「それが先行研究で論点になっているのか」、そしてもしも論点になっているとしたら「解決している論文があるか」探してみましょう。
もしも、あなたが抱いていた疑問が「論点になっていない」あるいは「論点になっているが疑問が解消されていない」のであれば、オリジナルな「論点」である可能性が高いです。この段階でいくつそうしたオリジナルな「論点」を見つけられたか、は最終的に卒論の出来を大きく左右しますので、できる限りたくさん見つけておきましょう。
手順3 「論点」を「問い」に磨き上げる
最後に手順2で見つけたオリジナルな「論点」を「問い」として磨き上げていきましょう。
まずは「論点」について書いている論文がないかを探していきます。この段階で既に同じ「論点」を「問い」として書いている論文があれば手順2に戻って別の「論点」を探すか、その「論点」をより絞った形の「問い」を見つけるようにしましょう。
そうして自分だけの「論点」を見つけたら、次に「問い」として成立するかどうかを考えていきます。あなたの見つけた論点が「問い」になるかどうかは以下の観点でチェックすることができます。
- 「問い」チェック1 その論点の前提となる事実にズレはないか?
- 「問い」チェック2 「問い」を裏付ける理論や背先行研究はあるか?
- 「問い」チェック3 その「問い」は証明可能か?
これらの観点をチェックすることで、その論点がこれまでの研究の延長線上にあり、さらに「問い」とその答えとなる仮説を卒論によって証明することが可能かどうか、見極めることができます。このチェックを乗り越えた「問い」のうち、特にあなたが興味がそそられるもの、あるいは「これなら簡単に卒論が書くことができそうだ」という感触を持ったものを選択して、卒論のテーマとしていきます。
ステップ4 結論(仮説)を決め打ちする
さて、ここからお伝えする方法こそがこの記事を「最短ルート」と銘打っている1番の理由です。
結論を決め打ちしましょう。
え…そんなことしていいの?
論理的に卒論を書いていった上で導くのが結論なんじゃないの…?
そう思った方も多いと思います。でもよく考えてみてください。
「問い」を立てた後に、それを解決するために色々調べながら一つひとつ書いていったものの、話が横道にそれていってしまい何を書いているのか分からなくなってしまう…。
これが卒論で困るパターン第1位です。卒論・レポート代行プラザにメールで無料相談してくださるお客様もそのような状態で困っている方が非常に多いです。このように卒論の筋が横道にそれて困らないためには、まず「ゴール」を決める必要があるのです。卒論で「ゴール」とは、もちろん「結論(仮説)」のこと。
最初からどのような「結論」に向けて論文を書くのかをこの段階で決めていきましょう。
結論の決め方は簡単です。「問い」を選んだ時点であなたは必ず何かしらの意見を持っているはずです。これを一旦この段階で結論として決め打ちしてしまう訳です。この段階ではまだ証明されていない訳だから当然、これはいわゆる「仮説」となります。
例えば…
問い: 東京ディズニーリゾートはなぜ世界で3番目に人気のテーマパークなのか?
仮説: 東京ディズニーリゾートは他のテーマパークに比較して従業員教育がしっかりしていてホスピタリティが高いために再訪者が多く、結果として人気になっている
といった具合です。
なお、この段階で上記の仮説は立証されていないものであるため、各テーマパークの来場者へのアンケート調査結果や各テーマパークを比較しながら、この「仮説」の正しさを証明していく必要があります。そこで、次に「この正しさを証明していくためにはどのような構成で、どのような情報を集めていけば良いのだろう」と考えていけば良い訳です。
このように一旦、結論を決め打ちしてしまうことで卒論を構成するのが、グッと楽になります。具体的にはこの段階で300文字程度でその卒論の「問い」と自分が予想する「答え」を書いた上で、次の「構成を考える」ステップに進んでください。
ステップ5 構成を考える
スタート(問い)と、ゴール(結論)が決まったところで、次は構成を決めていきましょう。構成は次のような内容で作っていきます。
- はじめに
- 先行研究
- 取り上げる「問い」についての基本的な説明
- 自説の展開と証明
- 結論
さて、少し唐突ですがここで問題です(笑)
この5つのパーツのうち、最も時間がかかるのはどこでしょうか?
その答えは…当然ですが、「4. 自説(仮説)の展開と証明」です。なぜなら「自説(仮説)についてどう証明していくか」は自分で作り上げていく必要がある上、卒論の肝となる箇所だからです。
したがって、構成を考える時もまずはここに注力していきましょう。「4. 自説(仮説)の展開と証明」の構成を考える際のポイントは以下の2つです。
- ポイント1 自説を”論理的な形”になるようにする
- ポイント2 自説の展開と「証明」をつなげる
ポイント1 自説を"論理的な形"になるようにする
まずは自分の仮説(自説)を説明するための構成を作っていきます。ここで重要なことは「なぜ自分がその仮説(自説)が正しいと思うのか」ということを読者に伝わるように構成すること。
コツは論理的な展開の2パターンを使いこなすことです。卒論で自説を述べていく上では2パターンのうち、いずれかを選んで使います。
パターン1 根拠ミルフィーユ型
パターン2 三段論法型
それぞれ説明していきます。
パターン1 根拠ミルフィーユ型
仮説を証明するために根拠を複数積み重ねていく方法です。帰納法と呼ばれたりもします。
例えば…
先ほどのディズニーリゾートの仮説を証明する場合。
根拠ミルフィーユ型では次のように自説を構成していきます。
問い 「東京ディズニーリゾートはなぜ世界で3番目に人気のテーマパークなのか?」
証拠1 東京ディズニーリゾートの従業員教育とホスピタリティは、他の多くのテーマパークと比較して非常に高いとされている。
証拠2 東京ディズニーリゾートは顧客からの評価が高く、再訪者が多いというデータがある。
証拠3 東京ディズニーリゾートは、世界のテーマパークの中で第3位の人気を持っているという統計がある。
結論 上記の観察から、東京ディズニーリゾートが従業員教育とホスピタリティに優れているために再訪者が多く、その結果として世界で3番目に人気のテーマパークになっていると推測される。
根拠ミルフィーユ型は、このように一つの結論に向かって「証拠をミルフィーユのように重ねていく」ことで証明をする書き方です。
一つの結論に導ける証拠を複数集めれば成立するという「手軽さ」が長所でもあります。
一方でこの証明を見ても分かる通り、突っ込みどころ(批判できる箇所)が残ってしまうというのが弱点です。つまり、「状況証拠が揃っているからといってその結論に至るとは限らないんじゃないの?」というツッコミが入りやすいということです。
したがって、このパターンで卒論を書いていく場合には、このツッコミが入らないようにできる限り一つひとつの証拠の完成度を高めていくことが大切になります。
パターン2 三段論法型
これは演繹法とも呼ばれます。証明するために「絶対的な前提」を使うものです。
問い 「東京ディズニーリゾートはなぜ世界で3番目に人気のテーマパークなのか?」
大前提 世界的に人気のテーマパークは必ずリピーターが多い。
小前提 東京ディズニーリゾートは他のテーマパークに比べてリピーターの割合が高く、その理由は従業員のホスピタリティの高さであるというアンケート結果がある。
結論 東京ディズニーリゾートはキャストの態度が良いことが顧客の再訪意欲を高めており、結果として世界で3番目に人気のテーマパークになっている。
※あくまで説明のために作っているものなのでデータや事実に基づいたものではありません。ご注意ください。
このように「三段論法型」では、「決まったルールや理論から、特定の結論を引き出す方法」です。今回の場合は「世界的に人気のテーマパークは必ずリピーターの多い」という法則を元に、結論を導き出しています。
「三段論法型」の強みは、大前提で取り上げた一般的な法則やルールなどが正しければ論理的に厳密な答えを引き出すことができるという点です。したがって、突っ込みどころが少ない論文を作るのには、「根拠ミルフィーユ型」よりも適しています。
しかし、大前提として取り上げることができる「理論・ルール」がない分野を卒論に選んだ場合には使うことができないという点が弱点です。今回の場合も「世界的に人気のテーマパークは必ずリピーターの多い」という法則が破られてしまえば、卒論全体が破綻してしまうことが分かると思います。
したがって、このパターンで卒論を書きたい場合、誰もが同意してくれる大前提を用意できるか、ということにまずは注力する必要があります。
さて以上が自説を論理的に展開するための2つのパターンです。
卒論で求められる“論理的な説明“の方法は、このどちらかしかありません。したがって今回紹介したいずれかのパターンのいずれかを選ぶことが求められます。自分が書こうとしている卒論の分野やテーマ、状況に合わせて選択してみてください。
また、1つの卒論で選ぶパターンは、1つに絞るのが望ましいです。2つの論理パターンを卒論の中に混在させてしまうと、いずれかのパターンを選んだら最初から最後までそのパターンで構成していくようにしましょう。
さて自説をいくら論理的に展開したとしても必ず穴が出てきます。言い換えれば「突っ込みどころ」です。この「突っ込みどころ」をふさぐために、自説を「証明」していくのが次のポイントになります。
ポイント2 自説の展開と「証明」をつなげる
自説の展開をいずれかのパターンで構成したら、穴となっている部分を防ぐために何らかの証拠を自分で作っていきます。文系の卒論の証明の仕方としては次のいずれかを選択する場合がほとんどです。
- アンケートを取る
- インタビューをする
- 先行研究を分析してまとめる
いずれのパターンを採用するにしても、自説の穴をどうやって埋めていくのか、ということを考えて「証明」を構成していくことが大切です。例えば、「ディズニーリゾートのリピーターがどのような理由で再訪しているのか」ということが示されているデータが世の中にない場合には自らでアンケート調査によってこれを明らかにすることが求められます。
ここでは自分の研究に合った証明方法を選んでいく姿勢が求められます。
第6ステップ 卒論を書いていこう
ステップ5までを終えた皆さん、大変お疲れ様でした。ここまで来ればあとは書き上げていくだけです。
…ここからが大変なんじゃないの?
そう思った方もいるかもしれませんが、実際にはここまでのステップをしっかり踏んでいれば割とスラスラ論文が書けてしまいます。なぜなら、ここまでの作業をしっかりやっていれば論文に必要な知識も頭に入っているし、何を書けば良いかも具体的になっているからです。
でも、当然しっかりとした論文に書き上げていく上ではコツもいくつかあります。次の3点を守ってそれぞれの章をサクサク書いていきましょう!
- コツ1 「はじめに」を書く
- コツ2 まずは書くことを箇条書きにする
- コツ3 引用を使いこなす
卒論の書き方のコツ1 「はじめに」を書く
最初に「はじめに」を書き上げましょう。ポイントは次の4つのパートに分けて書いていくことです。
パート1 誰もが同意する「事実」を書く (Ex. 日本は長らく景気の低迷に苦しんできた。)
パート2 次の疑問につながる「問題」を書く (Ex. 日本ではアベノミクスと呼ばれる経済政策が取られたが、結果として経済成長は実現することができなかった。)
パート3 論文のメインテーマとなる「疑問」を書く (Ex. ではどのような経済政策を取れば良かったのだろうか?)
パート4 どのような「方法」で3の「疑問」を解くのかを書く (Ex. 2010年代の各国の経済政策と経済成長の関係を分析し、日本がこれからどのような経済政策を取るべきかを考察する。)
このように4パートに分けて「はじめに」を書くことで、読者が自然に文章に入り込むことができる構成にすることができます。また書いているあなた自身も卒論に必要な「研究動機」や「研究目的」を楽に文章に組み込むことができます。
ぜひご自身の研究テーマに当てはめて4つのパートを書いてみてください。
卒論の書き方のコツ2 まずは書くことを箇条書きにする
書きはじめの時から卒論をしっかりした文章で書いていこうとすると大変な労力を使います。そこで、構成の段階では、「その項目(章や節)で何を書くのか」ということを箇条書きで書いていきましょう。
箇条書きを使うと良いのは、自分が理解できていないところや論文を書くために欠けているパーツが明確になるところです。不足している部分が見つかった場合は一つ前の工程に戻ってその箇所を調べたり、データを集めたりしてみましょう。
さて書くことを箇条書きにしてしまえば後はそれらのリストをつなぐように文章を書いていくだけです。いきなり文章を書くのに比べると格段に楽です。このよにまずは自分が書きたいことをまとめてから書き出すようにしましょう。
卒論の書き方のコツ3 引用を使いこなす
先生から「引用をしなさい」と言われて困っている方も多いんじゃないでしょうか?そのため「引用は面倒なもの」と思いがちですが、実際は「引用は最短で卒論を終わらせる」ための大きな武器です。引用を使うポイントは2つです。
- ポイント1 事実の裏付け
- ポイント2 自分の意見の補強
引用のポイント1 事実の裏付け
引用をするべき箇所の第一は「事実」です。「事実」を裏付けるためのデータや情報は必ず引用して示すようにしましょう。
例えば…「日本の人口は減少傾向にある」ということを書きたい場合。
人口がこの数年でどのぐらい減少しているのか、ということを具体的な数字と共に示しましょう。引用は必ず政府資料や調査機関の発表など一次資料から行いましょう。つまりこの場合は「日本の総人口は2008年の1億2808万人を頂点に減少に転じ、2023年には1億2435万人と、前年から59万人減、13年連続の減少となった。」(1)
※(1)総務省統計局「人口推計」
このように、事実を書く場合は、「私が思っている」「みんな言っている」では通用しないのが論文の世界です。したがって、上記のように事実を述べる時にはその裏付けとなるデータや情報を示しましょう。
引用のポイント2 自分の意見の補強
引用をするポイントの2つ目は「自分の意見を補強する」です。自説を述べる際に自分の考えのみでは説得力に欠けることがあります。そんな時に先行研究から自分と同じ意見を引用したり、自分の意見を証明するデータや調査結果を引用することで説得力を補強していきます。
例えば…「プロスポーツチームが地域に存在することで地域自体への愛着も高まる」という意見を述べたい場合。
この場合、先行研究にも同じような意見を述べている人がいないかを探してみます。
(検索中…)
…ありました。
二宮(2010)では大分トリニータのファンを対象に調査を実施し、「大分トリニータの観戦に対する関与が高いファンほど、地域同一性や地域依存性といった地域への愛着」が強いということが分かっています(2)。
(2) 二宮浩彰(2010)「プロスポーツ・ファンの地域愛着とスポーツ観戦者行動」『スポーツ産業学研究』20(1), 105頁
このように自分の意見の中でも説得力が弱く補強が必要だと感じるものについては、先行研究や調査結果から引用をして説得力を向上させていきましょう。
第7ステップ 卒論を仕上げよう
いよいよ最後のステップです。卒論を仕上げていきましょう!
最後なのでパパッと終わらせて遊びに行きたいところですが…この作業は卒論の出来を左右する1番大きなステップであると言っても過言ではありません。
そのため、卒論を書くスケジュールのうち10%程度を確保して、このステップをこなすようにしましょう。具体的には書き上げた卒論全体を全3回に分けて推敲(仕上げ)をしていきます。
- 1回目 論文の目的が達成できているか?
- 2回目 細かい論理的な破綻がないか?
- 3回目 おかしな表現や文章がないか?
各回で何を意識するべきか、解説していきます。
1回目 論文の目的が達成できているか?
まずは論文全体を眺めて「はじめに」で書いた論文の目的を満たせているかを確認します。特に論文全体が最初に提示した「問い」への答えになっているか、ということは重要な観点です。以下の点を意識しながら論文全体を読み通していきましょう。
・卒論の冒頭で提示した「問い」への答えになっているか?
・最初から最後まで首尾一貫した内容になっているか?
もしも上記の観点でずれた内容が含まれていることが分かった場合には、その箇所を再構成して書き直す必要があります。提出後に先生に突っ込まれてどうすればよいか途方に暮れる…なんてことのないように早めに手直しをしていきましょう。
2回目 細かい論理破綻がないか?
次に答えが「論理的に破綻なく書けているのか」という点を確認していきます。ここでは、自分の意見に反対意見を持つ読者の気持ちで各章の「ツッコミどころ」を探していきます。
論理的であるかどうかを検定する上ではこの記事で説明した「証拠積み重ね」パターンか、「三段論法」パターンのいずれかでしっかり論が展開できているかということを確認して論理破綻がないかの確認をしていきましょう。
3回目 おかしな表現や文章がないか?
最後に細かい文章の表現を確認していきます。所謂「校正」や「校閲」と呼ばれる段階です。
ここでは論文としての体裁を整えていきましょう。学校が指定している卒論のルールがきちんと論文に適用されているか、ということもこの段階で確認していきます。以下にチェックリストをあげますので、卒論の校正・校閲の参考にしてみてください。
- 全体の文字数は規定に沿ったものになっているか?
- 各章の文字数はバランスよく配置されているか?
- 原稿は論文規定に沿った用紙フォーマット(空白・フォント・文字サイズ・ページの記載等)になっているか?
- 引用文献の仕方は学校指定のフォーマットになっているか?
- 参考文献リストの書き方は規定に沿ったものになっているか?
- 漢数字と英数字が混在していないか?
- 略称を使っている場合には1番最初に正式名称()の形でその点を示しているか?
- 表紙はフォーマット通りに書かれているか?
- 要項やキーワードの記載はしてあるか?
これらのチェックポイントをすべてこなせば完成です!本当にお疲れ様でした。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか。卒論はレポート課題とは書き方が違うので、はじめは戸惑う方も多いと思います。でも、この7つのステップをしっかり踏んでいけばしっかりとした卒論を書き上げていくことができます。
いきなり書き始めるのではなくしっかりとインプットと構成をしてから取り組んでいくとグッと作業が楽になっていきます。ぜひこの記事を参考にあなただけのオリジナルな卒論を完成させてみてください!